新建 文本文档_131
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盲郡趣いΔ长趣稀⑿抡悉饯Δ筏胜皮獯笳煞颏坤日J識していたことになる。なぜか。所説にあるように大久保が新政府のスパイだったからだ。そして大久保に裏切られた。西郷の寝返りや翔子の誘拐は完全に敵の目を欺くためのフェイクということになる。始めから洞窟入口からの侵入は考えていなかったのだろう。何重にも練られた策略。これによって新政府は主力部隊を洞窟からの入口封鎖に割くことになり、最終的に何ら活躍の場を与えることができなくなった。新政府にとって最も大きな痛手である。

 マシガニオという組織自体が新政府の出先機関だったという説も興味深い。外の世界の情報を集め、分析し、研究することで今後の展望を明るく照らしていこうという意図があったに違いない。であれば軍部の中で力を持っていた沖田勝郎(おきた かつろう)が組織のリーダーであったことはつじつまがあう。ではなぜ、手のひらを返したように本部に逆らうような行為に及んだのか。表向きは坂本祥子の謀反だとされている。確かにリーダーである沖田勝郎はこの戦いには参加していない。知らなかったというが、精シャネル ヴィンテージ バッグ
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鋭10部隊を動かし、尚且つ勝郎の息子である春香も参戦しているのだから知らなかったはずはない。知らぬことにしておいてほうが後々都合がいいと考えたからであろう。
 そうなると坂本祥子は味方に暗殺されたと考えた方が妥当なのかもしれない。
 実に政治的な意味合いの強い戦いであったことは間違いないようである。

 「よいか、この作戦で最も重要なことは、ニオを無事に地下

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16:爆発


さて、いつもの様に王宮へ向かおうと思ってグラシスの館を出たら、第七騎士団の若い騎士たちに、新しい研究の為の場所へ連れて行かれた。
何故か僕は王宮ではなく、レッドバルト家の所有する王都最大のホテル、セントラルホテルに。
なんと、その地下には大きなラボが存在していたのだ。

「あ、リノ。おはよう」

「……どう言う事だオリヴィア。なぜこんな所で……」

「私だって今朝知ったのよ。しょうがないじゃない、騎士団の決定なんだから。私たちはこの研gucci カバン
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究の間は、第七騎士団の下に付く事になっているのだから」

「……お前も選抜のメンバーなのか?」

「ええ。あと、クラウスも居るわよ」

「……他には?」

「……それだけ」

「………」

はい?
僕は耳を疑いたくなった。
いったいどういった選び方をしたら、このようないつもの顔ぶれになるのだろう。

「何だかA班で実験していた頃を思い出すわね……」

「…………」

僕は頭を抑えつつ、先が思いやられるなと思ってふらついた。
少数精鋭と聞いていたが、まさか同級生の班員たちと言ういつものメンツで研究する事になるとは。

しかしよくよく考えてみる。
第三研究室には優秀な研究員が多く居るが、オリヴィアとクラウスはまだ若いとは言え相当優秀な人材だ。
なにしろ、僕らの世代は黄金期と呼ばれ、A班は特別天才ぞろいと言われていたから。

この若い僕にリーダーを務めさせる上で、やりやすいチームを作ったと言う事だろうか。
それとも必然的に、彼らの力が必要となると言う事だろうか。

ここで少し、学生時代の班員たちの話をしよう。

僕らは王都の魔法学校の、特に成績の良い上位クラスに在籍していたが、その中でも一際異彩を放つA班の班員だった。

6人いた班員のうち、オリヴィアが班長で、僕とクラウスがただの班員。
オリヴィアは学年の主席争いをしていたほどの優等生だったし、クラウスは魔法式の計算において誰にも負ける事は無かった。
僕は魔法薬学に関して教授たちと渡り合えると言われたほど突出した知識と技術を持っていたが、それ以外に関しては並の人間であった。

現在宮廷画家となったフィオナルド・コレーは、これまたとんでもない天才肌で、造形魔法学や自然魔法学、想像魔法学などあらゆる分野で特異な才能を持っていたが、何故か王宮画家をしている。

残りの二人は、副班長であったウェルナー・セバリュスと、女子班員だったチェチーリエ・プリズ。
ウェルナーは正義感が強く戦闘魔法が得意で、研究室ではなく魔法兵の道へ。
チェチーリエはふわふわした女性らしい生徒で、民俗魔法学の偉い教授の娘で、そのままそちらの学者となった。






「そもそも、妖精をゼリーにするなんて、どういった原理なんでしょうね」

「……僕が思うに、妖精の変化の力を強制的に発動させているんじゃないだろうか。妖精は好き勝手に、あらゆるものに変化する力を持っている」

「なるほど。薬に、強制的にゼリーになるよう魔法式を組み込んで、スリープさせているって事か……」

オリヴィアとクラウス、僕という顔ぶれが集まった後、まず、会議をした。
いったい、今何が必要で、どういった情報が重要なのかまとめ、魔法薬学の視点から考えてみる。
その中で、妖精を魔法薬品によって強制的に変化の力を発揮させているのでは……と言う推論に至った。
要するに、魔法薬が妖精をゼリーにしているのではなく、魔法薬は妖精の変化の力に何かしらの命令を出してるのだ。そしてそのまま、妖精たちを強制的に眠らせている。

もしこれが正しければ、逆に妖精たちを強制的に起こして、元に戻る様に促す魔法式を組み込んだ薬を作れば良いと言う事になる。

妖精ゼリーの現物だけはあるが、やはりどうしても例の“魔法薬品”が欲しいのと、妖精に関する専門的な知識が欲しいところだ。



ランチの時間の事だった。クラウスとオリヴィアはホテルのレストランへ向かったが、僕にはベルルの作ってくれたお弁当があるからと、一人地下に留まっていた。今日はオムレツサンドだった。
美味くできていたので、それを完食してしまい、今後の事を考えつつ、部屋に用意されてあったティーセットのお茶を飲んで、ホッと息をつく。
丁度その時、腕に付けていた魔法結晶の腕輪が光って、なにやら空中伝書が届いたようだった。

「サフラナか?」

どうやらグラシス家からだ。基本的に、こちらからグラシス家に連絡を入れる事はあるが、あちらから伝書が届く事は稀なので何だろうかと思う。

「………」

僕は伝書を開き、少し驚いた。
そこにはベルルの小さな可愛らしい文字で、こう書かれてあったのだ。

『旦那様、お昼はもう食べたかしら? オムレツはサフラナじゃなくて、私がちゃんと作ったのよ? 味で分かっちゃうかもしれないけど……。美味しいと良いな。旦那様、お仕事頑張ってね』

最後に、あの丸頭の妖精の絵が描かれている。
何ともたどたどしい文章だが、ベルルから伝書をもらったのは初めてで予期していなかった事なので、かなり嬉しかったりする。
きっとサフラナが、空中伝書の事を教えたのだ。ナイス、サフラナ。

「ええと……どう返信しようか。“ベルル、サンドウィッチをありがとう。とても美味しいオムレツサンドでした……”って、何で敬語に……。僕は伝書だと誰に対しても敬語になってしまうんだよな……」

一人ごとを言いながら、何故か返信に苦労した。
悩みつつ返信し終わった後、僕は今度、ベルルにも伝書専用の魔法結晶を買ってあげようと思った。
いつでもやりとりができる様に。





その日の夜、僕が相変わらずいつもより遅い帰宅をした所、グラシスの館の異変に気づかずにはいられなかった。

「………??」

どこか焦げ臭い。
何事かと心配になって居間にまで向かうが、何て事無さそうに縫い物をしているサフラナと……ソファで眠っているベルルが居るだけだ。

「……いったいどういう事だ?」

「ああ、坊ちゃん。お帰りなさいませ。………ああ、この匂いですか? 申し訳ありません。……ちょっと色々とありましてね。クッキーが爆発してしまったんですよね……」

「……クッキーが……爆発??」

はて、クッキーはいつから爆弾になってしまったんだろうか。

「いえね、ベルル様と一緒にクルミのクッキーを焼いていたのですが……なぜか爆発してしまったんですよね。いったい何が悪かったのやら……私が付いていたと言うのに……。奥様は自分が何かミスをしてこんな事になったのだと、酷くショックを受けてしまいまして。ソファでずっと泣いておられたのですが、先ほど泣きつかれて眠ってしまわれました」

「………そうか」

僕はベルルに近寄り、眠る彼女の頬に触れた。
やはりどこか湿っぽく、先ほどまで泣いていたのだなと分かるほど頬が赤い。

僕はベルルを抱きかかえて、二階の寝室へ連れて行った。
二階までいくと、一階のフロアを覆っていた焦げ臭さは無くなる。


「………旦那様……?」

「ああ……ベルル、起こしてしまったか」

「旦那様……っ、私、ごめんなさい……っ!! クッキー、爆発させちゃったの!!」

「………ああ、サフラナから聞いたよ。君に怪我が無くて良かった」

ベルルがベットの上で目を覚まし、ぺたんと座り込んで、口元に手を当てたまままた目に涙を溜め始めた。
僕は慌てて、彼女の涙を拭う。

「私……旦那様が仕事でお疲れだろうと思って……っ。途中まで上手くいっていたのよ?? いったいどうして失敗しちゃったのかしら……っ」

「な、泣くな泣くな。また挑戦すれば良いじゃないか。……楽しみに待っておくよ、僕は」

「………ごめんね旦那様……何も出来なくって……」

ベルルは眉を八の字にして、側にあったクッションを引き寄せ胸に抱き、心底情けないと言う様子で泣いていた。
僕の場合、次こそはと思っていた実験が失敗したときの様な感じかな。

「何度だって挑戦すれば良いんだ。君の理想のクッキーを作るまで。……クルミのクッキーは、僕の母が得意だったお菓子だよ。それを、逆にサフラナが教わったんだ……。君がこれを作ってくれようとしただけで、僕はとても嬉しい……」

「………本当……?」

「ああ。とても嬉しいよ……」

制服の胸ポケットからハンカチを取り出し、ベルルの涙を拭く。
彼女が目をつむると、そのせいでまたポロッと涙が溢れた。

本当に泣き虫で、僕の為に何かしてくれようと一生懸命頑張る。
可愛い人だ。

「そもそも、失敗は成功の元と言うし……僕らの調剤だってそうだ。いまだに、僕は失敗して、爆発させる事もあるんだから」

「………旦那様も、お薬……爆発させちゃうの?」

「ああ。特に今の薬の実験なんて、最初から手こずっているくらいだ。一日に何度爆発させた事か……」

「………」

ベルルが大きな瞳を丸くさせ、小首をかしげて不思議そうに僕を見上げている。口元で手を丸くしたまま。
可愛い。

「だ、だから……その、あまり気にしなくて良いんだそのような失敗くらい」

「でも私……何で失敗しちゃったか分からないのよ? これじゃあ、また同じ事をしてしまうわ。私、このままずっとクルミのクッキー、作れないんじゃないかしらっ。そしたら……旦那様に食べてもらえないわ……っ。旦那様の奥さん失格よ!!」

「まさかそんな……大げさな」

僕は、とりあえずベルルに着替える様に言った。
まだ普段着のドレスのままだったからだ。

ベルルは言われるままに、肩を落としたままクローゼットのある部屋に向かったが、その時、彼女の背中からコロンと落ちるものあり。

「……??」

僕はそれをすぐに摘んでみた所、なんと妖精である。
よく中庭で見かける、細長いアスパラガスみたいな妖精だ。

しかも何かクルミを腕に抱えている。

「………なんで妖精がクルミなんかを……」

僕は瞳を細めつつ、その妖精をマジマジと見つめた。
うちの庭の妖精たちは、普段あまり人前に出てこないし庭の主である僕に悪戯ばかりするし、ちょっととんでもない奴らだが、ベルルが庭に行く様になって表に堂々と出てくる様になった。

このアスパラ妖精もそうだ。
僕に捕まっても騒ぐどころではなくクルミを舐めている。

「おい………まさかベルルがクッキーを焼くのを失敗したのは、お前が何かしたからじゃないだろうな……?」

何となーく、そう思って聞いてみたが、妖精は間抜けな面でクルミを舐めながら、「あー?」という感じだ。

妖精は悪戯好きだ。
しかし妖精の申し子であるベルルに対し、何かしでかすとも思えないが、逆にかまって欲しくて悪戯すると言う事もあるかもしれない。

「旦那様……どうかしたの?」

ベルルがクリーム色の絹のネグリジェを着て、再び戻って来た。

「ああ、妖精が君の背中から……」

僕は摘んでいた妖精を彼女の前に差し出そうとしたら、すでに妖精は僕の手から逃れ、姿を隠してしまっていた。

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Sense130

 振替休日の明けた日の夜。アトリエールの在庫を確認しながらも、工房部は稼働していた。
 調合施設の粉砕機では、以前乳鉢で潰していた胆石や薬石を粉末状にする行為を代理しており、今回は、薬ではなく爆弾の素材を加工している。

「明日から新規プレイヤーが参入するだろうけど、在庫は以前から蓄えているから問題ない。問題は、これだよな」

 燐魂結晶やその小さな欠片を纏めて粉砕機に掛ける。内部が白みがかった靄の入った結晶は、砕けるとガラスの砕けるような破砕音を上げて光を乱反射するサラサラの粉へと変化する。
 またもう一方の素材である黒爆石も粉砕機に掛けるが、こちらはどちらかと言うと黒くしっとりとした粘土質な土のような感じだ。

「威力の最適な調合率と使用するための必要な大きさ。それと必要な型紙」

 爆弾を構成する要素は、調合率、サイズ、形状の三つだ。
 調合率は、この二種類の調合率で、スキルによるデフォルト作成では、1:1の調合率だ。
 サイズに比例して威力が増大するが、重量も変わり、デフォルトでは、バスケットボール大(約バーバリー ベビー服
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一キロ)の大きさだ。
 型紙は、第三の町で購入できる爆弾用の型紙。四種類が存在し、丸型、ダイナマイト型、感圧型、時限型と爆弾一つ取ってもカスタマイズの幅が広い。
 ただ、調合によるカスタマイズ無し。スキル作成によるデフォルトの爆弾のステータスはこれだ。


 通常爆弾【消耗品】

 HPダメージ【-500±50】


 こんなレベルだ。ダメージポーションよりも高威力だとしてもバスケットボールの大きさでは扱い辛い。うっかり自分の足元に落として自滅しそうなほどだ。
 まぁ、低威力で見た目派手な爆弾は、パーティーグッズとしては面白いだろうが。

「デフォルトを基準として、分量を十パーセント刻みで変動させるか」

 俺がまず始めるのは、最適調合比率の割り出しだ。
 百グラムの内、燐魂結晶と黒爆石の比率を変えて火薬玉を作成する。
 分量を量り、均等になるように混ぜる工程は、料理にも精通する作業であり、非常に慣れた手つきで作る。
 燐光結晶の比率が多い爆弾が四パターン。黒爆石の比率の比率が多い爆弾が四パターン。計八種類の火薬玉が出来、それを元に、同じ規格で通常爆弾を作った。
 その結果、燐光結晶と黒爆石の比率には、関係性が見られた。アイテムのステータス画面を通して見た爆弾は、3:7が一番に高い数値になった。


 通常爆弾【消耗品】

 HPダメージ【-400±40】


「バスケットより小さいサイズでビックボアには有効打与えられる威力か。逆に、これ以上黒爆石の比率を増やすと不発爆弾になってるし……」

 燐光結晶の多い爆弾は、威力数値が低い。黒爆石が火薬。燐光結晶が発火装置と見立てれば、納得のいく物だ。
 投げるなどの衝撃を受けた燐光結晶の粉末が熱を発し、黒爆石に引火、爆発を引き起こす。燐光結晶の量が少なすぎると、引火せずに不発弾。不良品となる。
 また、不発爆弾のステータスにはダメージが表示されていない。
 じゃあ、逆に――

「……アイテム単体での威力表示なら、外部から火気を持ってくれば、爆弾として使えそうだな」

 粉末にした黒爆石のみで作った爆弾は、予想通り不発弾だった。だが、これがもしも爆発した場合、威力はどれだけ上がるだろうか。
 逆に、燐光結晶のみで作った爆弾は、どうなるのか。ダメージの無い爆発アイテム。傍らに置くメモ帳に思いついたアイディアを単語として一時的に纏めておく。
 同じサイズで燐光結晶のみの爆弾は――。


 閃光爆弾【消耗品】


 名前の通り、光を発するだけなのだろう。一時的にスタンにする。とか目暗ましのような役割だろう。光魔法のライトの代用品としてはあり得るが、実用してみないとどの程度の物なのか分からない。

「まぁ、俺が使わなくてもタクにでも渡して、後で感想を聞けばいいか」

 その後も、指に挟める細いタイプのダイナマイト型や手に収まるピンポン玉の小型爆弾の二種類を一ダース十二個をそれぞれ二セット製作する。
 他にも、試験的に作ったサンプルの爆弾毎によっても粉末の消費量が違うために、意外と多くの数が作れるようだ。

「……多く作れるんじゃなくて、デフォルトのスキル作成の方が効率が悪いのか」

 レシピに登録されたダイナマイト爆弾や小型爆弾、閃光爆弾に使われる素材を比較すると、余り差は無いように思う。
 結局、新規作成のレシピからのスキル作成は、もう一度同じものを作れるが、手作業の方が細かい分量などで差が生まれる。

「結局、使い勝手の良い、小型高威力爆弾を優先して感圧型と時限型の爆弾は作れなかったな。材料集め直さないとな」

 だが、こうやって作ると、状況に応じて様々な道具を使い分けることが出来そうだ。

 衝撃を受けて起爆する通常爆弾。
 光を発し、相手を一時的に足止めする閃光爆弾。
 事前設置で相手の意表を突く感知式爆弾。
 設置から起爆までの時間を設定する時限式爆弾。

 これらが基本に、サイズや火薬を変えて派生させれば、攻撃の幅や今までの低い攻撃力を増加できるかもしれない。
 火属性や火を扱う敵には、不発爆弾。小型化を大量に同時に使う事でマジックジェムの連鎖(チェーン)ダメージと同じようにダメージを増加させられる。また、合成で矢と爆弾を組み合わせれば、矢への技能付加(スキル・エンチャント)では出来なかった爆弾矢が作れるかもしれない。

「って、まだ実験してないんだ。実際に使ってみて、欠点とかを見つけないとちゃんと使えないからな」

 ぐっ、と背を伸ばし、肩を回して体を解す。
 今日の調合作業でメモしたことをノートにまとめ直し、まだやっていない調合や残っている作業を思い出す。

「蘇生薬の研究もまだか。って言っても判明している素材が無いし……生成する途中まで進めておくか? それにミュウたちと出かけた時の鉱石の詳しい鑑定もしてないな」

 タクには、詳しい素材を伝えなかったが、桃藤花の花びらを含む四種類は、既存のポーションを素材とした調合だ。
 ハイポーションとMPポーションを三対一の割合で調合し、それを濃縮する。この時出来るのは、濃縮ハイポーションというアイテムで、回復量も混ぜる前のハイポーションに劣るために、HP回復系のポーションとMP回復系のポーションは通常混ぜても反発し、能力が減衰させるだけだと言う予想を付ける。
 まぁ、その濃縮された液に、最後の足りない素材を加えると、濃緑色の液体に変わり、その中に桃藤花を加えると、花びらが溶けて完成する。というのが手順だ。

「進めるなら一度に進めたいし、また廃村の周りで探すか。駄目なら街道まで戻って探せば良い」

 俺は、使用している道具を片付けて装備を整えていく。装備と爆弾のサンプルを確認している時、フレンド通信が入る。
 相手は、セイ姉ぇだ。

「セイ姉ぇ? どうしたの?」
『聞いたよ。レイド・クエストを見つけたんだって。私たちもギルドとしての攻略と発見者の知り合いでの攻略をするつもりだから。そのお礼を言いたくてね』
「あー、別に良いよ。知られても俺は痛くないし」
『まぁ、お礼の言葉もそうだけど……ユンちゃんが欲しい素材の心当たりが一つあるんだ』
「欲しい素材。って、まさかな」

 今さっきまで考えていた素材。タクは心当たりがないようだが、セイ姉ぇはセイ姉ぇで自分たちのギルドで情報を持っていそうだし、嘘とは思えない。

「それって……」
『うん。タクくんから事の顛末は聞いてるよ。蘇生薬の素材探しの事も。で、私たちで出来るお返しって言ったら情報を情報で返すくらいだし』
「ああ、そりゃ有難い。けど、大丈夫なのか? 俺に教えても」
『大丈夫よ。ミカズチには話は通してあるし……。それに蘇生薬が出来たら売ってくれるように恩を売っておけだって』
「その一言、余計じゃないのか?」

 俺の言葉に、敢えて言ったのよ。とセイ姉ぇの声が。

『じゃあ、廃村のポータルの所で待ってるよ。あと、液体を保存できる容器なんかがあると良いよ』

 その一言でセイ姉ぇが素材の正体を知っていると分かる。

 俺は、装備よりも液体保存の容器をインベントリに複数本入れて、工房部に設置されたミニ・ポータルから直接、廃村へと飛んだ。

「セイ姉ぇ。待った?」
「ううん。寧ろ、ごめんね。私が呼び出して。私が持って行っても良いけど、これは直接見て貰った方が良いと思って」
「あー、素材の採取場所の事? ここから動くの?」
「違うよ。簡単な手順を見て貰うんだ」

 そう言って、ポータルの目の前にある枯れた噴水に近づく。廃村の中で一際目立ち、水は無いが作りがしっかりした噴水。その周りで何かを探すように光源を頼りに探す中、直ぐに見つけたようだ。
 こっちへ来るように、と手招きするセイ姉ぇに従い、傍でしゃがむ様に見る。
 細い溝を指でなぞるセイ姉とその上にある文字を指でなぞる。

「前ね。ギルドの建築好きが取ったスクショの中に偶然この文字が写ってたんだ。で、スクショの文字を解読したら『お金を入れる』だったんだ。面白いよね」
「うわっ、こんな細かい部分良く見つけたな。俺は、全く気がつかなかったぞ」
「普通は気がつかないんだよね。で、ここの溝にゲームの通貨を入れると……」

 手品のようにゲーム内通貨として使われる硬貨。普段は、情報のみのやり取りだが、こうしてアイテム化も出来る。それを溝に押し込むと、するりと硬貨より僅かに大きい隙間から中に落ちる。セイ姉ぇはそれを三枚、四枚と続けると、今まで枯れていた噴水から水が勢いよく噴き出す。

「綺麗だな」

 俺は、言葉にしたのはその一言だけだった。荒廃した村の中で唯一生きている噴水と水の煌めき、幻想の月と合わさり静寂の中で不思議な空間を作り出す。目を閉じて、噴水の水の音を聞くだけで、リラックスが出来そうだ。

「ユンちゃんは、気に入ってくれたみたいだね。私も好きだよ」
「あっ、スクショに残しても良いか? コレクションに加えたい」
「どうぞ。でも、本題は忘れないでよ」

 うっかり忘れていた。俺は、保存用の容器を取出し、溜まり始めた噴水を覗き込む。
 綺麗に溜まった噴水の水を保存用の容器で掬い、それを眺める。


 生命の水【素材】



 本の記述を頼りにすると水場……確かに、噴水も水場である。
 この生命の水と言う素材は、それ単体だと非常に美味しい水だ。様々な調合をする場合、ベース素材として活用できる。
 薬草がHP回復の特性があり、解毒草が解毒の特性があるとするならば、それらと合わせるとよりその方向性に強化する。
 同じアイテムでも回復量は増える。同じアイテムでも効果に差がある。
 ただ、その効果もプラスの方面にだけ働く。毒草と組み合わせても、毒を助長はしない。ダメージポーションに使ってもダメージは増加しない。
 それにしても――

「セイ姉ぇ、これで頼まれていた蘇生薬が出来そうだ。ありがとう」
「感謝するのは、出来てから」
「分かった。それにしても……自販機かよ」
「まぁ、一応、ポータルのある村なんだし、これくらいの特色があっても良いんじゃない? 廃村にはNPCの販売員が居るのも不自然だし」

 そうなのだが……。何となく釈然としない気持ちだ。だが、俺が微妙な思いを抱いていると、噴水の水が流れ始める。慌てて他の容器に貯めていくが、結局容器四本分を取り。再び、噴水にお金を入れて、生命の水を容器に貯める。
 最終的に、腕に抱えるほどの容器十本分をインベントリに収め、満足の良く結果になった。

「この噴水。ミュウにも見せたいな。結構、綺麗な景色とか好きだし、噴水に跳びこんでいきそうだ」
「実は、ミュウちゃんも誘ったんだけど、断られちゃった。ちょっと寂しかったな」

 肩を竦めて何でもないように言うセイ姉ぇ。そして、二人して噴水を眺めながら、セイ姉ぇが一つの提案をして来る。

「ユンちゃん。時間があれば、この後一緒に冒険しない?」

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第1話 ジュルチャガは語る(前編)






 1

「バルド殿。
 間に合ってよかった。
 競武会の前日には外門を閉ざしてしまうのです。
 ジュールラント王子は明日ご到着なさると連絡がありました」

 パルザム辺境騎士団長ザイフェルトは、そう言った。
 パルザムからまっすぐ東北方向に進めばロードヴァン城に着く。
 ただしその距離は大きく、あいだには砂漠や草原、亜人や野獣のテリトリーがある。
 人の住む地域をたどりながら移動しようと思えば、いったん北上してから東に進み、セイオン、テューラ、ガイネリアなど、中原の古き国々を通ることになるという。
 バルドにとっては、かすかに聞き覚えがあるかどうかというほどの、縁遠い国々だ。
 ジュールラントは、これらの国々に寄って、あいさつかたがた軍事と通商に関わる交渉をいくつかこなしていたが、その最後のものがつい数日前に終わったらしい。

 ザイフェルトはバルドに手厚く礼を述べた。
 その一つは、ゲルカストとの関係を悪化させずに済んだことである。
 ゾイ氏族は大族である。
 しかもその遊牧コースは人間の通商路を横切っている。
 というよりも、パルザム王国の伸長にともない、ゾイ氏族の縄張りにまで通商路が伸びてきたのだ。
 ゾイ氏族と敵対関係にでもなれば、大問題だ。
 ましてその原因が辺境騎士団員の非道にあるとなれば、団長の職を辞するぐらいではとてもつぐなえニューバランス ブーツ
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ない失態である。
 ザイフェルトが申し込んだ決闘はまだ受諾されていなかったから、結局なかったことになった。
 エングダルたちはわざわざロードヴァン城に立ち寄り、人間にも優れた戦士がおり、うまい酒食があることを知った、と告げて去った。
 それだけではない。
 族長エングダルは、

「いつかンゲド・バルド・ローエンは、ゾイ氏族に酒と肉を食いにくるだろう。
 そのときバルドは、騎士ザイフェルトを誘うに違いない」

 と言ったという。
 これはザイフェルトをゾイ氏族の居住地に招待したも同じである。
 ゲルカストが人間を酒食の席に招くなど、驚天動地の出来事といってよい。
 騎士団員の犯した罪により起きたはずのゾイ氏族との対立を収めたばかりか、最大限の好意を引き出したのだから、ザイフェルトは辺境騎士団長として大いに面目をほどこしたことになる。
 ゲルカストの少女イチェニケミは、仇である騎士ガープラの髪を切って持ち帰った。

 もう一つは、騎士マイタルプの変化についてである。
 ジュールラント王子の進める改革に最も批判的であったマイタルプの態度が、ころりと変わった。
 ザイフェルトに対する反抗的な態度は影をひそめ、腹を割って話ができるようになった。
 これも相当にバルドの感化を受けてのことだとザイフェルトは感じているようだ。
 もう一人の同行者である騎士ラホリタは、バルドの英雄ぶりを吹聴しすぎて、やや|顰蹙《ひんしゆく》を買っているらしい。

 もっともバルドにいわせれば、ザイフェルト自身のふるまいがゲルカストや騎士団員から信頼を勝ち取ったのであり、バルドもその恩恵を受けている一人ということになるのだが。

 ところで、ゴリオラ皇国の代表者は皇王の末姫である。
 未婚の若い王族同士が顔を合わせることになる。
 そこに何らかの意味を感じるべきだろうか。

 そう訊いてみたところ、婚姻の可能性を検討しているなら、むしろ事前に本人同士を会わせないだろう、とザイフェルトは言った。
 また、この競武会は、見合いの場とするにはいささか華が足りないらしい。
 片方の主催者代表が男であれば他方を女性にするのはよくある話で、珍しいことではないという。
 そうすれば、どちらが主導権を握るかが明白であるため、もめごとが起きにくいらしい。
 さらに聞いてみれば、婚姻は微妙な情勢だとも分かった。

 パルザム王国は西側の強国を打ち破って属国化したため、そのさらに西側の大国との緊張関係が高まっている。
 ゴリオラ皇国は北側の大国に戦勝して領土を削った直後で、再び戦端が開かれる可能性は高い。
 つまり今のところ、パルザム王国とゴリオラ皇国は直接争いたくない点で思惑が一致している。

 だが、そもそも両国は国境を接しているわけでもなく、直接には戦争をしたこともない。
 近年両者とも版図を拡大してきているから、やがては大陸中央部の覇権を賭けて争う日が来るかもしれないが、今すぐに婚姻を担保に相互不可侵条約を結ばねばならない理由もない。

 両国の友好のしるしとするにしても、国内の有力者に嫁がせた姫に比べて末姫は母親の身分が低すぎる。
 つまりあちらから持ちかける縁談としては不適当なのだ。

 ではパルザムのがわはどうかというと、今、二つの公爵家が自家の姫をジュールラント王子の妃にしようと動いている。
 それを出し抜くかのように他国の姫との縁談を進める者がいるとは考えにくい。
 今回の競武会の主催や、諸都市、諸国の視察と交渉などで実績を積んだあと、立太子式が行われる見込みだ。
 まずはそちらが優先でしょうな、とザイフェルトは言った。





 2

 ジュールラント王子は到着した当日、両国騎士団の幹部のあいさつを受けたすぐあとに、バルドを呼び出した。
 バルドは、知らなかった事実を一つ教えられた。

「じい。
 元気そうで何よりだ。
 じいが旅に出るという手紙を寄越したあと、母上がガリエラ殿を呼び出した。
 そして、あのかたは今までテルシア家に尽くしてくださり、やっと自分のために生きようとなさっているのだから、気持ちよく送り出してほしい、と頭を下げたのだ。
 ガリエラ殿も皆も、伯父上が亡くなられてからじいがすっかり老け込んだのを心配していた。
 旅に出て元気になってくれればいいと、皆考えたのだ。
 だから、シーデルモントを行かせたのは、実のところ別れのあいさつをするためだった。
 うれしかったぞ、リンツ伯の屋敷で大暴れするじいを見て。
 皆もその話を聞いて、大いに喜んだ」

 ジュールラントが伯父と呼ぶのは、辺境の名家テルシア家の先代当主ヴォーラのことである。
 ジュールラントの母はヴォーラの妹であるから、現当主ガリエラからいえば叔母にあたる。
 バルドが、四十年にわたって仕えたテルシア家に引退を願い出て旅に出たのは二年前のことだ。

  姫がそんなことをのう。
 
 アイドラの思いやりと、それを受け止めてくれたガリエラに感謝の念を覚えた。
 だが、ガリエラもシーデルモントもジュールラントも、自分に期待しすぎる、と苦笑いした。
 元気なころのバルドの印象が強いためだろうが、年を取れば体力も気力も衰えるものなのだ。

「そうか。
 養子を取ったのか。
 カーズ・ローエン。
 じいの直弟子といえるのは、私とシーデルモント・エクスペングラーの二人だ。
 お前は、私の弟分ということになるな。
 これからは私を兄と思うがよい。
 む?
 じい、何を笑っている。
 ああ、それとじいの屋敷は手つかずで残してある。
 金貨は一時借りた。
 武具は手入れがいるから、貸し出してある。
 屋敷は若い騎士を住まわせている。
 カーズを連れて、一度テルシア家にあいさつしておくとよい。
 私からも手紙を書いておこう」

 バルドはジュールラントにカーズの元の名前も経歴も語らなかった。
 ジュールラントも聞こうとしなかった。
 こういうやり取りが、バルドには心地よかった。

「せっかくこの時期に居合わせたのだから、競武会が見たかろう。
 主催者権限で、じいとカーズを招待国代表として迎える。
 今は二か国開催だが、昔はいくつもの国の辺境騎士団同士が武を競ったのだ。
 選手団を派遣する国以外も、招待という形で参加できる。
 大領主領は国扱いできる慣例だからな。
 ジグエンツァ大領主領代表だ。
 招待国は、見るだけではない。
 順位は取れないが、各部門の優勝者と模範試合ができる。
 じいは第四部門に、カーズは第五部門に出よ。
 うむ。
 これは楽しみになってきたな。
 シャンティリオン」

「はっ」

 と答えたのは、この部屋に唯一残る護衛だ。
 シャンティリオン・グレイバスター。
 かつてザイフェルトとともにバリ・トード勅使の護衛にあたった騎士だ。
 バルドとも面識がある。

「お前から見て、カーズ・ローエンは、どうだ」

 どうだとは、どのくらい強いか、ということだ。
 わざわざ聞くということは、かなり強いようだとジュールラントはふんだのだ。

「分かりません。
 読めない強さです」

「ほう。
 お前にそんなふうに言わせるとは。
 これはますます楽しみが増えた。
 じいも知っての通り、第五部門の出場者が一人空席になった。
 おおっぴらに選考をやり直すのもはばかられる事情だったのでな。
 このシャンティリオンを出すことにした。
 新しい近衛隊長の腕を見たがった王子のわがまま、ということにする」

 ジュールラントが飛燕宮のあるじになるにともない、シャンティリオンは近衛隊の隊長に任じられ、王ではなくジュールラント王子の護衛を務めることになった。
 これにはいささかの事情がある。

 グレイバスター伯爵家は、アーゴライド公爵家の分家だ。
 アーゴライド公爵家は、先代王の次に王を出すはずだった家だ。
 つまり戦死した皇太子はアーゴライド家の血筋だったのである。
 ところが皇太子と王が相次いで死に、ウェンデルラント王が即位した。
 そのため、莫大な戦費を負担したにもかかわらず、アーゴライド家は自派の王を得ることができなかった。
 そればかりか、皇太子の母は、息子が王にならないままだったので、後宮で最高の権勢を持つに至らなかった。
 元老院ではアーゴライド家に配慮して、いくつかの魅力ある地位を提案した。
 そのうちの一つが近衛の隊長である。
 ごく身分の高い貴族にふさわしい地位ではないが、宮廷の各方面に影響力があるし、人脈を作ることができる。
 また、元近衛隊長ならば、いずれ大きな戦が起きたとき、大軍を率いる将軍にもなれる。
 むろん実力のない若輩者を就ければ笑いものになりかねないが、幸いアーゴライド公爵家の分家にシャンティリオンという人物がいた。
 高貴な血を引きつつ、圧倒的な剣の技を持つ剣士だ。
 王は、ジュールラント王子の護衛についてくれるなら承認すると言った。
 立太子が確実視されている人物だし、王の代理を命じられた皇太子の護衛を近衛隊長が務めるのは不自然でもない。
 こうして若き近衛隊長が誕生した。
 一定の年限近衛隊長を務めたあと、枢密院がさらに提供した顕職に就き、その時点で本家の跡取りに指名されるだろう。

 ザイフェルトは、そんなシャンティリオンを心配している。
 万人に一人の剣才を持つ若者であり、気性もまっすぐだ。
 ただ、血筋が良すぎる。
 グレイバスター家自体格式の高い家だし、アーゴライド家となればなおさらだ。
 シャンティリオンの周りには、彼におもねる輩ばかりが集まっている。
 このままでは、剣も心もゆがむ。
 奥行きのない、薄っぺらで頑なな騎士になってしまう。
 ザイフェルトは、そうバルドに打ち明けたのだった。

 気軽に他国人に話してよい話ではない。
 ザイフェルトはよほどバルドを信頼しているということだ。
 よい助言がすぐに浮かぶわけでもないが、事柄の重さを理解しようとしながら、あいづちを打った。
 とにかく、競武会でのシャンティリオンの剣筋をみてみなければならない。

 それにしても、競武会を観戦できるのはうれしいが、この老体に戦わせるとはひどい話である。
 ジュールめ、相変わらずいたずらっ子じゃのう、とバルドは苦笑した。





 3

 部屋に戻るなり使いがあり、両国騎士団長があいさつに来ることになった。
 やって来たのは、ゴリオラ皇国辺境騎士団長タイデ・ノーウィンゲと、副団長ケーバ・コホウ。
 それに、パルザム王国辺境騎士団長ザイフェルト・ボーエンと、第一大隊長マイタルプ・ヤガン。

 さきほどまで、バルドの立場は、パルザム国王が招いている賓客だったので、ゴリオラ皇国には関係がなかった。
 それが今や、競武会の招待国代表となったので、実施責任者たる両騎士団長があいさつに来たのだ。

 マイタルプが紹介役を買って出て、まずタイデとケーバをバルドとカーズに紹介した。
 次にバルドとカーズを二人に紹介した。
 それからタイデとケーバが、あいさつをしたのだが、どうも妙な感じだった。
 特にケーバのあいさつは奇妙だった。

「副団長シヤラト子爵ケーバ・コホウにござる。
 名高いお二人にお目もじかない、光栄の極み。
 拙者いささかバトルハンマーを使いおります。
 失礼ながら、ゴドン・ザルコス卿は、いずこに」

 ゴドン・ザルコスは旅を終えて領主としての務めに励んでおりますわい、とバルドは答えた。
 答えながら、頭には疑念が渦巻いていた。
 名高いお二人、とはどういうことか。
 なぜ、ゴドン・ザルコスのことを知っているのか。
 ザイフェルトが、何か言いたいことがありそうな様子だった。
 精霊に惑わしの粉を掛けられる、という言い回しがあるが、まさにそんな気分だった。




 4

 ロードヴァン城の食事は悪くなかった。
 一番驚いたのは、牛肉だ。
 城は外壁と内壁の二重構造になっており、外壁と内壁の間では野菜が作られ、牛と馬と豚と羊が飼われている。
 オーヴァの東でも牛は見かけるし食べるが、基本的に労働力であるので、食べるのは老いて死んで硬くなった肉だ。
 ここではなんと、乳を採り肉を食うために牛を飼っているのだという。
 血の滴るたっぷりの焼いた牛肉は、ひどくバルドの気に入った。
 牛肉は肉の王であると王都ではいうらしい。
 本当にそうだと思った。
 ところが、この肉でさえ、乳を採るための牛だから肉質では二級品、三級品なのだそうだ。

 ジュールラントが到着した二日後に、ゴリオラ皇国の一行が到着した。
 少人数だと聞いていたが、馬車二十数台と騎馬五十名近く、徒歩の者はその倍ほどもいた。
 大集団だ。
 その大集団は、北側の門から外壁の中に入ると、さらに北の内門をくぐった。
 そこには城の別棟がある。
 ゴリオラ皇国側は、別棟をまるまる使用するのだ。
 食料もすべて持参し、料理人も下働きも、すべて自国から連れてきている。

 いかにも貴族然とした美少年が、バルドたちの所にやってきて、

「よっ」

 と片手を上げてあいさつをした。
 ジュルチャガだった。

 もともとジュルチャガは整った顔立ちをしているのだが、何しろ薄汚い。
 髪はざっくり切ってあちらこちらに跳ね上がっているし、顔はいつもほこりにまみれている。
 着る物も粗末である。
 手足は細く、全体に痩せていて、どうみても下級平民なのだ。

 それが今や、こけていた頬はふっくらとして、顔全体がつやつやしている。
 そのため、そうでなくても童顔であるのが、さらに若くみえる。
 髪は美しく切りそろえられ、丁寧になでつけられている。
 油でも乗っているのか、淡い黄色の髪が、明るい金髪に変わっている。
 目元がくっきり見えるため、薄茶色の大きな目が、くりくりと印象的だ。

 しかし最大の変化は何といっても、服装だ。
 これは平民の着てよい服ではない。
 身分も高く金もある貴族の子弟が着るような服だ。

 ジュルチャガは盗賊だ。
 バルドの住んでいた辺りでは、〈|腐肉あさり《ゴーラ・チェーザラ》〉の二つ名で、それなりに知られた悪党だ。
 それが、なぜかバルドの一人旅にくっついてきた。
 同じく押しかけ同伴者のゴドン・ザルコスと三人旅をしていたところ、危機にあった女騎士ドリアテッサを救うことになった。
 バルドに恩義を感じているらしい剣士のカーズ・ローエンが一行に加わり、ドリアテッサを手伝って大赤熊の魔獣を倒した。
 その後ゴリオラ皇国に錦を飾るドリアテッサに、連絡係としてジュルチャガを同行させた。
 おそらくドリアテッサは魔獣を倒した功績で、辺境競武会出場者になれたのだろう。
 だからゴリオラ皇国からの出場者たちとともにジュルチャガがここにやって来たのは納得できる。

 だが、この格好はいったいどうしたことか。
 どこで盗んだ服かしらないが、問題はこんななりをしていることを、同行者たちが許したらしい、ということだ。

 この男はいったいゴリオラ皇国で何をやっていたのか。
 いろいろ聞かせてもらわねばならないようだ。





************************************************
1月4日「ジュルチャガは語る(後編)」に続く

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坤瑁俊〉堡郡昵挨袱悚蟆?

 だから悲しみに暮れてひたすら頑張って作ってしまったと。

「私が仲直りするまでナキナキ坊主このままね」

「……まぁ、いいけど」

 ちなみに明日は土曜日だ。つまり三日はこのまま……

 だがしかし、月曜日には見事にはずすことになった。ちゃんと謝れてよかったな。



 仕事を終えて僕が家に帰ってくると、もいっちょ大量のテルテル坊主が迎えてくれました。

 見事に描かれた怒りの形相がずらりと並んでいて、めっさ恐いです。

 まだ続くのでしょうかテルテルブーム。

「おーい、カカー!」

 呼びながら部屋に入ると、そこにはでっかい白い布を身体に巻きつけて人間テルテル坊主になりながら、テルテルよりも三倍は恐ろしい表情でテレビを見ている我が妹の姿が。バーバリー レディース
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 こえぇ。

「どうしたの、おまえ」

「あのね、トメ兄」

 怒りを抑えた声で香加が言った。これが漫画なら額に青スジが十個はあるだろう。

「今日さ、悪戯でお気に入りの消しゴム壊されたんだ」

「……へぇ」

「だから、その子が呪われるといいなって」

「新しいの買わないのか」

「限定品だよ? 売ってないじゃん」

 そういえばこの前、デパートの開店セールに行ったときに記念品で消しゴムもらっていたな。妙に気に入ってると思ってたけど……

「呪いでその子が不幸になるまでノロノロ坊主このままね」

「……まぁ、いいけ――や、よくない! いつになるんだよ、はずすの!? 僕は嫌だぞ! ずーっとこんな怒りの形相したチビどもと同居するの!」

「101匹ワンちゃん飼ってる人いるんだから101匹ノロちゃんも大丈夫

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馈?


はっきり言って、源次郎は着衣の女性とセックスをしたことはなかった。
互いに合意の上でのことであり、布団なりベッドに入るときには、両方ともが全裸だった。
もちろん、それぞれが自分で自分の着衣を脱いでいた。
そして、それが男女がするセックスへの入り方だと思っていた。

その一方で、そうしたセックスを前提としない場面で、女性の着衣を源次郎の手で脱がせるといった経験もなかった。
強いて言えば、冬の時期に、どこかの店に入るとき、女性が重たいオーバーコートを脱ぐのを後ろから手伝った程度だ。
それ以外は、そうした場面に出会ってはいない。

そんな源次郎が美由紀に出会ったのだ。
そして、その当日から、ほぼ同居人のような生活を強いられた。
で、生まれて初めて、女性の服を脱がせる着せるといった行為をやらされた。

それでも、それは、あくまでもアルバイトという観念があった。
雇用主であったあの支配人かバーバリー ブレザー
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ら、それが仕事だと言われたからだ。
それで賃金を貰う約束だった。
だから、できるだけ男女という区別を意識から消して対応するように心がけた。
美由紀もそれを望んでいるように思えたからだ。


「ほ、ほら???、また、そんな言い方をする???。」
美由紀が下から源次郎を見上げるようにして言って来る。

「ん? な、何か、変な言い方しました?」
そう言われても、源次郎には何を言われているのか分からない。
ごく普段どおりに言っていると思っている。

「げ、源ちゃんの意地悪???。そんなに美貴を苛めて???、面白い?」
「い、苛めるだなんて???。」
源次郎は驚く。
まさか、美由紀の口からそんな言葉が出るとは思っても

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入力:j.utiyama
校正:earthian
1998年12月28日公開
2004年3月9日修正
彼らがついに降参したとスチャックテイラ

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第二十話 人怪その二十七

「そして神もだ。一人ではない」
「貴様もいればあの魔神達もいる」
 牧村はこのことも実感できたのだった。それも神については宗教が一つではないということよりも強く実感してもいたのである。
「そういうことか」
「無論他にも存在している」
「他にもか」
「私が本来いる世界にもな」
 死神はこれまでになく己のことを牧村に対して話していた。そしてそれを止めることなくさらに話を続けていくのであった。さらに、であった。
「多くの神がいる」
「そこが貴様のいる神の世界というのだな」
「他にも神の世界はある」gucci japan

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 他にもあるというのである。
「そこには他の神々がまた存在している」
「神の世界も一つではないのか」
「ありとあらゆるものが一つではないのだ」
 死神の今の言葉は少し聞いただけでは到底わかり得ないものであった。しかし髑髏天使は彼が何を言いたく何を言いたいのかわかっていた。
 そしてそのうえで。死神の話をさらに聞くのであった。
「世界とは縦横に複雑に入り組み絡み合い無数の世界が存在するものだ」
「無数にか」
「その通りだ。この人の世界もまた同じだ」
 やはり異なる世界の住人の言葉であった。
「この世界のもな」
「わかった。世界もまた一つではないのか」
「私はその重なり合っている世界の一つの住人だ」
 それが彼だというのである。
「神々と呼ばれる住人の一人なのだ」
「わかった。それでは神の一人よ」
「うむ」
「今は貴様の本来の世界に帰るのだな」gucci バッグ
 死神の話をここまで聞いたうえでの言葉であった。
「俺は俺がいるべきこの世界に留まり続ける」
「このまま留まり続けられるのならその限り留まることだ」
 死神はまた意味深い言葉を述べてきた。
「その限りな」
「どういうことだ、それは」
「人は人の世界に生きるもの」
 死神はまた彼に言ってきた。
「そういうことだ」
「今の言葉はわからないが」
 牧村は目を警戒するように細めさせて死神に言葉を返した。
「今のは。どういうことだ」
「いずれわかるかも知れない」
 しかし死神は今は答えようともしなかった。これ以上言おうともしないのだった。
「貴様もな。人である限りな」
「俺は人間だ」
 これが牧村の今の彼自身への認識であった。
「それ以外の何だというのだ」
「同時に髑髏天使でもある」
 死神はまた答えることなくこう返した。
「それを忘れるな」
「覚えておこう」
 一応その言葉を受けはする牧村だった。
「だが」
「理解することはないというのだな」
「その通りだ。今の貴様の言葉はわからん」
 やはりそうなのだった。今の牧村には。
「だが。やがてわかるかも知れないな」
「それではその時に考えることだ」
 死神もそれ以上は彼に言わないのであった。
「その時にな」
「わかった。それではな」
「また会おう」
 彼等はこれで教会を離れ別れを告げ合った。戦いは終わったが全ての戦いが終わったわけではなかった。魔物達にまた新たな神が降臨しようともしていた。


第二十話   完


                  2009・8・11

N1803G-4
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第一話 刻限その四

「持っていくといい」
「お借りして宜しいのですね」
「返してくれればいい」
 教授はまた答えた。
「返さねば取り立てるだけじゃしな」
「取り立てるのですか」
「本は宝物じゃぞ」
 学者らしい言葉であった。
「一冊たりとも無駄にしてはならん。違うか」
「それは確かにそうですが」
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「それでじゃ」
 教授は牧村にさらに言ってきた。
「一応一週間でな。それでよいな」
「わかりました。それでは一週間お借りします」
「ではそれで話は終わりじゃな」
「はい。それでは」
「うむ。また会おう」
 こうして牧村は教授の書斎の一つからその本を借り研究室を後にした。教授は扉が閉められるのを見届けてから一人呟くのだった。
「やはり今年か」
 呟いた後で本に目を戻したのだった。ラテン語で書かれたそこに何があるのかは教授にしかわからない。しかし確かなことがそこにはあったのだった。
 牧村が教授の部屋から本を借りて六日になった。この日も彼はサイドカーで登校していた。講義が終わりサイドカーに乗ろうとすると胸のポケットに入れている携帯が鳴った。
「んっ!?」
 携帯の音はモーツァルトだった。レクイエムの怒りの日である。銀色の携帯からそれは鳴っており開くとメールが届いていた。それは。
「あいつからか」
『こんにちは、お兄ちゃん』
 まずはこう書かれていた。彼の妹である未久からだった。
『今日塾の帰りよかったら』
「迎えに来て欲しいんだな」
 妹の考えはすぐにわかった。何故彼になのかもすぐにわかったのだった。
 何故かというと彼がサイドカーを持っているからだ。その横に乗るのも好きだししかもそれで周囲から注目されるからだ。しかも牧村は彼女の友人達の間では格好のいいことで知られておりささやかな自慢である。彼女にとっては実にいいことづくめだからだ。
「そういうことか。それじゃあ」
 返信を送った。いいということだった。それを受け取ってから彼は携帯を収めた。それから行く先はまずは家だった。高層マンションの三階にある己の部屋に入るともうそこには母親がいた。四十代半ば程度の穏やかな顔と黒く長い髪を持つ女性である。
「只今」
「あら、来期」
 母親は彼の名を呼んで意外そうな顔を見せてきた。
「早いのね、今日は」
「早いか?」
「いつもはもっと遅いと思うけれど」
 笑いながら牧村に言葉を返すのだった。
「そこのところはどうかしら」
「それは母さんの主観だろ?」
「そうかしら」coach アウトレット バッグ
「いつも真面目に帰ってるさ」
「サイドカーに乗ってる時はそうね」
 母親は少し考えた顔になってから我が子にこう述べた。
「そういえばそうね」
「乗っていて酒は飲まないさ」
 そうしたところには真面目と言える牧村であった。言葉には真剣さもある。
「飲んで運転したらそれこそ」
「犯罪よ」
 応じる母の言葉もまた真剣なものであった。今度はふざけてはいない。
「言っておくけれどうちの数少ない誇りは」
「道を間違った人間は出していない。それだな」
「そういうことよ。そこは覚えておきなさい」
「わかってるさ。ところで」
「未久ね」
 妹の名前が出た。
「迎えに行ってくれるのね」
「サイドカーで迎えに行くと喜んでくれる」
 それが迎えに行く理由だった。意外と妹思いであるのかも知れない。
「だから。行って来る」
「悪いわね。お父さん帰り遅いし」
「部長になって余計に帰りが遅くなったな、本当に」
「それは仕方ないわよ」
 また笑顔になって息子に述べた言葉だった。
「偉くなればそれだけ仕事は増えるものよ」
「風来坊じゃ駄目か」
「少なくとも」
 少しお説教するような顔になっての言葉だった。この辺りは母親らしいと言えた。
「今のあんたみたいなのじゃ駄目ね」
「俺は俺なりに真面目にやっているんだがな」
「協調性を持ちなさい」
 声にも少しだけだが厳しさが入っていた。

N3944O-22
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第二話 群星集まるその十

「そうしておった。それは残念じゃ」
「私は松平の者です」
 竹千代は吉法師の今の言葉に生真面目な顔で返した。
「申し訳ありませんが吉法師様にお仕えすることはできません」
「だから弟なのじゃ」
 そうだというのである。
「そういうことじゃ」
「左様ですか」
「わかったな。そなたを弟とする」
 その目は真剣そのものだった。
「よいな」
「ではその御言葉受けさせてもらいます」

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 竹千代も遂に頷いた。
「その様に」
「それではな。では御主は今日これからどうする」
「今日ですか」
「これから帰って休むか。それとも」
「そうですね。吉法師殿の言われた通り」
 温厚な笑みを浮かべてだ。こう言ってみせた。
「学問をします」
「そうするとよい。普通にやるより頭に入るぞ」
「身体を動かしたからですか」
「身体を動かさず学問をしても思ったより頭に入らぬ」
 吉法師はこう話す。
「だからじゃ。身体をよく動かしてじゃ」
「雨の日もですか」
「雨の日でも戦はある」
 はっきりと答えた言葉だった。
「こう言えばわかるな」
「よくわかりました。では雨の日であっても」
「そうせよ。わしもこの柿を食ったら帰る」
 見れば何個かあった柿がもうなくなっていた。二人がそれぞれ食べているもので最後であった。そしてよく見ればであった。
 吉法師は十個程竹千代の家臣達の前にも置いていたのであった。
「あの、これは」
「まさかと思いますが」
「食せよとのことでしょうか」miumiu バック
「柿は食うものぞ」
 これが吉法師の返答だった。
「遠慮することはない。食うがいい」
「しかしです。我等は臣下です」
「その我等に今食えというのは」
「そうじゃな。竹千代」
「はい」
「そなたからも言ってやれ」 
 また笑って彼に告げたのだった。
「よくな」
「そうですね。それでは」
「家臣には気遣いを忘れぬことだ」
 吉法師が竹千代に教えたのはこのこともだった。
「よいな」
「気遣いですか」
「こうした時には食わせるもの。真面目なのもいいが気遣いも忘れぬことだ」
「わかりました」
「では言ってやれ」
「それでは」
 家臣達に顔を向けてだ。そのうえで告げたのだった。
「一人二個ずつじゃな。食せよ」
「はっ、それでは」
「有り難き御言葉」
 彼等も主のその言葉を受けて食べるのだった。吉法師はその彼等と竹千代を交互に見ながらだ。また言ってみせたのだった。
「まことに三河はまとまっておる。よいことじゃ」
 松平のその結束の強さを見ているのである。そのうえでの言葉だった。
 そしてこの時にだった。尾張に一人の小柄な若者が入った。
 見れば猿にそっくりである。痩せていて背中も少し曲がっている。お世辞にも外見はいいとは言えない。その男が尾張に入ったのである。
「ううむ、これが尾張か」
 那古屋の街並みを見回してまず言うのだった。

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